●JA51でNOx/PM法回避!
 軽ジムニーでは排ガス規制など何処吹く風ですが、白ナンバージムニーの旧いモデルのとっては地獄です。当然と言いますか我が「菊千代」もL-JA51Cですので規制にビンゴです。

 JA51でPM法を回避する方法としては
@JB31シート等移植で内装はJA51Wに交換した事にして乗用登録

AJB31のEPIシングルポイントインジェクションでフルセット換装(貨物)

BJA51C用のガスレポ買って適合(貨物)

CJA51Wの電制キャブとショボコンピューター、触媒移植で適合(貨物)

 と、なります。

 @は低コストだがランニングコストが高すぎるので没。Aは31が無価値になるので没。B>Cでコストはかかるがランニングコスト激安。

 おいおい、何か忘れてないか?もうお解かりですね。

 
 よってD!


 そうです。最もアメリカっぽく、なおかつ最もパワフルであり最もコスト安な方法・・・・・・・ジムニーに
エスクードのG16A(16バルブ)エンジンスワップです!←ベタで申し訳ない。

 G13AからG16Aへスワップする事により、識別記号L(貨物昭和56年規制適合)→E(乗用昭和53年規制適合)、つまりNOxは0.25g/km!これはPM法基準値の0.48g/km(貨物1.7t以下)を楽々下回るので、排ガス規制クリアという事になる。よって本来通り貨物での登録が可能というわけです。実際にはガスレポ提出の場合の基準値が0.48g/kmであって、スワップの場合はもっと厳しい数値で0.25g/kgになります。勿論エスクードは型式認定の際に0.22g/kgという数値を出していますので、ギリギリですが適合可能です。

 ただし、規制をクリアする為にはドナーエンジンの燃料装置から排ガス対策装置まで一式でコンバートせねばなりません。


●G16Aエンジンスワップ
 G16Aをスワップすること自体はご存知アメリカでキット化されているので簡単な事です。ハーネスも売っているようですが、恐らく運賃込みで相当な金額になりそうなので・・・当然自分で作らねばなりません。

 エンジンスワップではドナーとして部品取り車を丸車で用意するのが鉄則です。例えばエスクードの場合、1988年の1型〜4型までバリエーションがあり、ボディタイプは4種。サービスマニュアルはマイナーチェンジごとに追補されていて追補版はNo.9にまで達します。エンジン系のショートパーツだけでも3種あり、ハーネスがそれぞれ違うだけでなくECM自体も別の物になっていたりする。

 つまり相当ディープにエスクードを研究し、各型式による相違点などを完璧に把握しておかないと、バラで部品を集める事は不可能です。仮にバラで部品を集めたとして、まだ難関が待ち受けています。それはハーネスです。線自体はどうでも良いのですが、カプラーは無いと困ります。そしてそういう細かいブツをバラで売ってくれる解体屋さんは・・・・殆ど無いでしょう。特にエンジン補器類は外してしまうとASSYとしての価値がなくなりますので・・・・・。結局カプラー付きの、それも使おうとする型式にピッタリ合致するパーツを延々と探し続けるハメになります。丸車を用意しておけば、そういった細かいパーツもしっかりシャブれますので、全てにおいて有利です。実際、かなり細々と必要な部品、ハーネスが出てくるはずです。そして丸車ですとハーネスから不要な線を撤去するだけで、殆どの線が接続済みみたいなものなんです。これは最大の利点といえるでしょう!


 で、私はと言いますと・・・・・・・・・・・・・・・・・
バラで集めてます(爆死

 
 と、いうのもエンジン自体は借り物でして、コイツが見てのとおりFCR4発というキョーレツな仕様なので・・・・必然的にインテーク系統とエンジンコントロール系統を集めなければならないと。とにかく1円でも安く作りたいので、本体は別に機会に・・・という事にしました。そして2年間にわたって必要なパーツを集めたというワケです。因みに2010年2月現在、まだ揃っていません(ヤッパリ。


 とりあえず今回新たに集めたのはECM、ディストリビューター、エアフロ、インマニにスロットルボディ、イグナイターとコイル・・・・まぁその他色々ですが、まぁ最悪に大変です。絶対やめときましょう。

●戻し作業
 
 このG16Aエンジン、FCR4連装の過激な仕様にして、勿論中身もヤッテます。フルバランスにポート研磨等々、かなり本気の仕様。各ネジ部はきちんとカッパーグリスを塗布の上で組み上げられており、作業を依頼したオーナーと施工者の綿密さが伺えます。

 しかしこのままでは当然車検など通るはずもありませんので、インジェクションに戻します。デスビハウジングとキャップ、細かいガスケット類は新品交換しつつ、インテークマニホールド・スロットルボディにエキゾーストマニホールドを組み付けます。本来はマニホールドに振動防止のためスチフナが数カ所設けられていますが、これらは省略。

 
 で、クラッチ関連部品等を交換して搭載。JB32のトランスミッションを使用した影響で、ミッションケースにまで加工が及んでしまいました。さよならG13Aエンジン!と、まあ積んでしまうまではとにかく簡単なものです。問題はここから・・・・エンジン制御の神経系統をきちんと接続してやらねばなりません。とにかく毎日配線図を舐めるように睨み回す日々。果たして回すことが出来るのか????・・・・・・ダメだったら爆笑してください。


●サクションパイプ制作

 手元にあるG16Aエンジンは本体のみからのスタート・・・つまりサクションパイプがありません。このパイプ、純正品はアルミ鋳物(?)のようで、高価そうですし中古も出回りません。おまけに取り回しとしては前側から吸気するので、JA51のジャッキマウントと干渉してしまいます。この部品がないとエアフロが装着出来ない。エアフロレスにすると圧力センサーを取り付けてDジェトロに・・・ということは制御システムもモーテックか何かのフルコンを入れ・・・・・・・・・以下略 となってしまいますので、純正のエアフロが使えるようにサクションパイプを制作します。


 で、なぜ凹んだガードバーなのかと言いますと、これは数年前にタイヤ・ホイールを引き取りに行った際、「ついでに持って帰ってくれ」と言われて持ち帰ったまま家の裏に放置していたものです。あの時、帰り道で捨てよう、捨ててしまおうとずっと思っていましたが、捨てられずに持ち帰ったのが役に立つとは・・・・・ミガキの304なんていちいち買っていられないので、コレからサクションパイプを作ります。


 
 20度程度の曲げ部を切り出し、スロットルボディ60Φからエアフロメーターの90Φまで変換。SAMCOのシリコンホースで接続します。フードやジャッキとの干渉も無問題になりました。後に判りましたが、あのガードバー・・・・エスクードの部品でした。変な巡り合わせです。

 
 パイプだけではブラブラしてしまいますので、パイプを固定するステーを製作しました。と言ってもベースは作業場に転がっていた雨樋の金具ですが・・・一応ステンレスです。

●ハーネスの作成

 補機類の位置関係が大抵出てきましたので、エンジン制御用のハーネスを製作します。ここはエンジンスワップの要とも言える作業です。JA51の場合、元々がキャブ仕様で、エンジン制御に関する配線類はアイドルアップのソレノイド駆動用程度しか存在しませんので、ハーネスの繋ぎ変えや変更ではなく、JA51のハーネスにG16Aの燃料制御系統のハーネスを上乗せする形で製作します。これがJB31やJB32だと、既存のインジェクションシステムに割り込ませる形になるかと思います。

 まずは暇さえあればマニュアルの配線図をよく眺めて、どの線が仕事をするのか、系統別で把握しておくのが良いと思います。一応、マニュアルには配線色も記載されていますがアテになりません。実際には色が違うなんていうこともザラにあります(ありました)ので、端子番号で管理するのが良いでしょう。

 私の場合ここでも困難が待ち受けていまして、バラで集めた部品の中にECUに接続するカプラーがありませんでした。そこでカプラーのメーカーを割り出し、同じものを使っている車両を割り出して流用しました。実際、いちいち車種別に専用カプラを設定しているわけではなく、意外といろいろな車種に使われています。ですので黄色の雌に対して水色の雄というチグハグな取り合わせになってしまっています。因みに緑も持っています(笑 ですが、こんな苦労はしないように、丸車でドナーを確保しましょうね・・・・・・・因みにカプラはJAEのMX5シリーズですが単品入手は100個単位とかですし、コンタクトターミナルも含めて入手ルートが確保できる人種でない限りはかなりキツいです。



 実際の配線作業は、とにかく配線図を読みつつJA51とTA01の融合を図る作業が中心です。そこが決まれば必要に応じて分岐しつつ、エンジン制御に必要なパートを順番に完成させてゆきます。要は必要なセンサ類に対して、電源とコントロール線を接続していけば良いわけです。例えば燃料ポンプはセルスタート後に2秒間燃料を送らなければならない関係でメインリレーを介してフュエルポンプリレーをECMでマイナスコントロールしています。こういったインジェクションシステムの理解は最低限必要だと思います。JA51ではリレーと言うものが殆ど存在しないので、メインリレーとフュエルポンプリレーを追加しました。ダイアグノーシスはエンジンチェックにあたって重要な存在ですが、これは何故かマニュアルの回路図も不親切なので、頑張って開始スイッチと出力線を見つけて使えるようにしておきましょう。点火時期調整等で必要になります。



 で、このように全体を作り上げた後には必ず配線図を残しておきます。配線にも端子番号管理でつけたタグをそのまま残しておいて、ハーネステープなりコルゲートチューブで束ねてしまうのが良いと思います。少なくとも自分だけは後々修理出来るようにしておかないと、また後で泣きをみることになるでしょう。

 ハーネスが完成したら車体に這わせて必要な線を接続してゆきます。

●セルモーターが無い・・・・・

 JA51はG13Aエンジン、エスクードはG16Aエンジン。後年のG13BにおいてはかなりG16Aに近づいている等、基本的に同系統のエンジンなのでセルモーターはJA51のものでOKだと思っていました・・・・が、シリンダーブロックが大きくなったぶん、メタボなJA51用セルモーターではおさまらないことが判明・・・・・。こんな事なら安く出ていたときに買っておけばよかった・・・・・

 いざ探すとなると中々TA01のセルモーターなど出てきませんので、互換性のあるものを探して購入しました。因みにAT車用ですので少しだけパワーアップします(1.2kw→1.4kw)。


 
 制作したハーネスを這わせ、修理した補機類をインストールしてスワップ作業としてはこれで終了です。



●エンジン始動でコケる!
 
 さて、スワップ作業が終わりましたら、いよいよ念願のエンジン始動です。


 が


 
まったくかかりません



 新たに組み込んだリレーはECUへ電源供給し、セルは回るし燃料ポンプも制御通りの駆動。しかし火が全く飛びません。早い話が点火信号が出ていない・・・・・

 そこで一番に疑ったのが自作配線でした。サービスマニュアルを参照しながらトラブルシューティングを実施。しかしダイアグノーシスはセンサ類正常の表示。しかし実際にはIGtもIGfも出てこない。端子電圧を測ると、どうも電圧ドロップしている様子。しかし基板内で直接計測するとメインの12V系とセンサ電源の5Vはそれぞれ来ている。ということはカプラ側での接触不要かとカプラ出口で計測。するとマニュアルの標準電圧に達さない。ならばカプラのコンタクトポイント内での接触不良を疑い、基板から直接測るも相変わらずの数値・・・・・フローチャートで行き当たるのはECU交換ばかりです。


 次に疑ったのはECUです。実はクランク角センサが仕事をしていないのに正常だと嘘をついて、しかもECU内で電圧降下を起こしているのではないか????この嘘つきECUめ!!ということで、別なECUを試すも同じ症状・・・・・・・つまり、自作配線とECUは全く悪くない・・・・・・


 と、ここで重大な事実に気づきました。Egルーム内のIG+に12Vが来てない!!それは前から解っていたのですが、IG+を車内から引っ張る事で対処していました。元々、変な配線処理(B+が車内でループ)されていたのを撤去しているのですが、どうもこれがEgルーム内IG+の不具合の修理だったのではなかろうか・・・・・・

 
 と、言うことで結局はJA51のハーネス自体がアウトだと言う結論に達し・・・・・・・・またダッシュボードを外してハーネスを全部剥き、おかしな加工の入った部分を全て正常な状態に戻す作業を実施しました。フューズボックスを見ると、IG+の15Aフューズだけ交換された形跡がありましたので、恐らく過電流か過負荷で切れたのでしょう。原因を探るより、全部良くしていったほうが早いです。



 全て抵抗値測定と導通チェックを終えて、ハーネステープを巻き直します。ついでなので取り回しは配線しやすいように若干変更しました。さらに、もう一度配線図と照らし合わせてしっかり解析しておきました。


 そして結局この作業で無事に始動成功!しました。2週間くらいハマっていましたので大きなロスですが、非常に勉強になりました。結局のところ、JA51のハーネス自体に不具合があった事と、室内から引っ張ったIG+が実はラジオの電源だったこと(ォィ そしてサービスマニュアルの標準電圧がデタラメだったこと・・・というように、多重トラップ(ひとつは自分のミス)で迷走してしまいました。サービスマニュアル、線色も数値もあまりアテになりません。配線図内でECUがEUCになっちゃってるレベルですので・・・・・・。


●改造申請する!
 別なクルマのエンジンを載せてしまいますので、この状態で改造申請して合法的に公道を走行できるようにします。早い話がどの部品を使って、強度はこうこうこうで大丈夫、排ガスもちゃんと基準をクリアできてますよと証明する作業です。

 まずは下記の書類を作成しました。
 @原動機載せ替え検討書
 A改造概要説明書
 B走行性能計算書
 C排ガス規制適合および排ガス検査省略検討書
 D改造部分詳細図
 E排ガス低減装置および原動機制御装置配置図
 F動力伝達装置強度検討書
 G車輌外観図

 改造理由の欄には堂々と
NOx/PM法適合のためと書きなぐりました。


 書類の束を自動車検査独立行政法人へ提出し、審査してもらいます。若干の訂正が入ったものの、一週間程度で決済が通りまして、予め狙って検査予約を入れておき、ラインに入って検査を通して登録してしまいました。検査自体は非常にスムーズに進み、無事にナンバーがつきました。



 SJ20の時もそうですが、「NOx・PM規制適合車」が眩しいです。これで晴れて規制関係なしのG16A公認、ジムニー1600菊千代となりました!